A-Life Noughties

シルクロードくノ一への道、ゼロ年代の軌跡

 1961年、月面南極基地に於ける宇宙連合との条約により、"サニー"シャーリーンと共に"シャドウ"として合成生物学技術で創出されたArtificial life、人口生命体アルネは、以降32年の間に人工生命体兵器として数々の戦火をくぐり抜けて来ていた。

 

 1993年、マクロウィルスの萌芽、ウィルスパンデミックの予兆の中、来たるサイバー時代に備え、いち早く対ハッキング能力をプログラミングされた強靭な心身を4度目のアップデートで手に入れたが、ホァジャルメホウエンセシルと共に戦い抜いたSQLスラマー・ダナンバトルで有機筐体に大幅なダメージを受け、現生アルネとして2004年に再生されることとなる。

 

 2000年ミレニアムからの10年間は、地球にとって長期に渡る宇宙連合の"地球人類次元上昇計画"の中で、人工生命体創出におけるその後を左右する偶発を含んだ大きな展開を見せていく。

 このスペシャル・ディケイドのストーリーを皆さんと共に辿って行こう。



バトル アルネ 3世 "グラン" (1993-2004)

 史上最も大きな肢体を持ち、成体時身長は6.2フィート(189cm)に及んだ。当時のスーパーモデル並みのスタイルに、行動を共にすることの多かったセシルにグランと名付けられた。




"Artificial life"人工生命体サイバー兵士達の創出

 時は2000年、チェルノブイリ、ラブ・レターと続く、後を絶たないコンピュータウイルスの進化を踏まえ、バトルアルネ3世に続くサイバー兵として5名のAライフが創出される。中東を守備するアルネ3世の他、グエン・ティー・ホウエンファン・ホァは東南アジア、セシル・ガルニエジャルメはヨーロッパを、鱒枝 紗具流は極東に配備されるべく、世界各地に張り巡らされた1961年来の地球人工生命体生成技術及び育成観測計画組織(Earth Artificial Life Generation Technology and Nurturing Observation Planning Organization)、通称EATNOPOの観測の下、幼体から成体へ成長していく。

 

 バトルアルネ3世を囲む、成体になったばかりのAライフ新サイバー兵士達。右からジャルメ、セシル・ガルニエ、ファン・ホァ、グエン・ティー・ホウエン。





オリジナルリキッド体の誕生

 新Aライフ創出5名のうちの1人、極東高野山奥部忍水術の郷で代々続く鱒枝家に里子として受け入れられ順調に育っていくように思えた紗具流は、時が経つにつれ成長が滞り始める。2003年、鱒枝家の3男(兄を2人亡くしている)で10歳になる嘉明(後の上月 嘉明)はこれを憐れみEATNOPOに掛け合う。紗具流の抱える不安を少しでも取り払う機会になるようにと、台湾に隠遁する孤高のAライフプリンセス、静馨シャーリーン10世との謁見を取り付ける。

 

 台南の赤崁楼で、言語中枢を遮断して暮らしていた静馨は笑顔で紗具流達を迎え入れ2晩を共にし、別れ際にまるで離れて暮らす娘を託すかのように幼い鱒枝 嘉明の両手を取り何度も頭を下げ、日本へ帰国する2人を見送った。





 2004年、高野山の鱒枝家に2人が戻り、年が明けても一向に成長が進まない中、紗具流の体に異変が起こり始める。水術訓練中に発覚した、自ら体を流動的に変えられるこの能力を検証し、即座に宇宙連合生命技術チームは、今後の人工生命体生成技術に組み込み活かすべく研究に入る。


 形状記憶液状生命体(Shape memory liquid life form 通称リキッド体)として、大幅に創出を改革し得るその成果を見越したEATNOPOは、世界に甚大な被害を与え始めているマルウエア"トロイの木馬”を武器とする組織犯罪の広まりに対するハックバスターにさせるべく、更なるAライフ創出を要求する。





コンピュータ・ウイルス・パンデック

 2003年、ワームウェア"SQLスラマー"からの連続的なウイルス出現は、翌年の過去最悪規模となる"My Doom"以降さらに加速していく。2004年、無数の"トロイの木馬"による騒乱の中、大規模なサイバー戦SQLスラマー・ダナンバトルが勃発する。中国からハッカーグループ、タイタン・レインがベトナム・ダナンへアジトを移動したという情報が入り、ホウエンとホァの下にセシル、ジャルメ、グランが集結する。

 

 幼体の一時期に日本で訓練を受けて以来親交が続いている紗具流が、前年にシャーリーンに謁見したという話をセシルから聞いたメンバーは、プリンセス・シャーリーンに一目会いたいと参戦直前のタイミングで台湾、台南の赤崁楼へ向かうこことなる。





シャーリーン10世の消滅

 謁見を承諾し、再び同類に会えることを赤崁楼で心待ちにしていた静馨は、既に先代コスモス・シャーリーン9世との別離でのメンタルショックと長年の激しい孤独感から、生命力の夥しい低下によるAライフ特有のタキサイキアに蝕まれていた。遺伝子の記憶を白昼夢の様に知覚体験するこの現象で、過去シャーリーンに対する人類の無情な処遇に押し潰されそうな気持ちになりながらも、静馨を姫先生(ゴンチューラオシー)と親しみを込めて呼び、赤崁楼を訪れる無垢な台湾の子供達との関わりで、心の均衡をかろうじて保っていた。

 

 到着した5名のAライフ・サイバー兵達を優しく迎え入れ歓待した静馨に、グランはある提案を進言したが、感謝されつつも受け入れられることはなかった。5年後に皆と共にリキッド体へのアップデートをしないかというその申し出は、EATNOPOへの断りのないグラン自身の独断だった。

 

 紗具流やグラン達との交流で一時生命力を取り戻したかのように見えたが、台南を後にして5人が向かったSQLスラマー・ダナンバトルの開戦後、間もなく静馨シャーリーン10世は、自ら消滅する。



 先代コスモス・シャーリーン9世との4年間の共棲後、独りになってしまった静馨だったが、コスモスとの約束通り、生命力を失い自ら消滅するまで、人類の為の行いを続けた。

(詳細はCharlene Castページを参照)





ジャッキーと蘭との邂逅

 ダナンへ向かったAライフ・サイバー兵5名は、中国のブラックハットチーム、タイタンレインを離脱していたハクティビスト数名の協力を得て、アジトへの乗り込みを進める。


 地下組織への潜入で相見えたのは、シムザーレの計画により密かに創出されていた4人のAライフだった。宇宙連合太陽系統括大使副官、プレアデス星団イータ星アルキオネ人のシムザーレは、アルネの思考、決断を良しとせず、過去に幾度も試練と称した妨害工作を企てて来ていた。


 5人の前に立ちはだかったAライフのメンバーは、セシルと同じ瞳を持ったソービッグをリーダーに、ラブサンウェルチアアンティニーと名乗るも、1982年のレバノン侵攻時に消滅したはずのジャッキーと蘭、そして過去のアルネの姿であった。この4名を殲滅した戦いでホウエンは消滅、ジャッキーと蘭を2度も失ったアルネは心身共に大幅なダメージを負う。結果としてAライフと人類のハッカーグループとの直接接触が行われることはなかった。



 


 そしてこの年、アルネは5回目のボディチェンジを行う。今後継続的な出現は免れないだろうコンピュータ・ウイルスと対峙させるべく、新たなサイバー兵として星 吉祥、圓 薊(まどか あざみ)、上月 鶴丸、備前ベリンダ、エリカの5名、同時に自己消滅をした10世・静馨に代わるシャーリーンとして、11世・クリサンが創出される。








鱒枝条約

 鱒枝 紗具流は、自らの身を新人工肢体の研究材料として提供する見返りに4人の妹を、更に摩耗する精神を支えくれたというセシル・ガルニエの為に妹を後に1人創出することを要求する。そればかりか2004年の計画発足時の段階で自分の友達を1名直ちに創出させる。


 紗具流の友達となること以外の役割を担わずに創出された上月 電之介は2008年、紗具流と同様の肉体流動に加え、分離した部位を動かせる異常能力を有することになる。


 この一連の紗具流の要求は、Aライフ養成を隠密に引き受けた高野山鱒枝家唯一の後継者、御歳11歳の鱒枝 嘉明が、伊賀下柘植の上月家を後楯に"鱒枝家紗具流処遇必約覚え書き"として、守らねば口外を辞さないとEATNOPOに突き付けた。


 命を顧みずに紗具流を守る嘉明の行動を"人類次元上昇"の可能性を秘めたエネルギーであると受け取った宇宙連合生命技術チームは、要求を飲み、Aライフ創出を加速させる。人類側EATNOPOはこれに追従し、"鱒枝条約"として容認、組織の思惑を便乗させていく。(上月家での姉妹臨床観察を始めていく)

 

 他者との繋がりによってでは遂に孤独を回避出来ずに自己消滅した静馨シャーリーン10世の経緯を強く心に留めていた紗具流には、Aライフがより多く創出されることによって繋がりが維持され、少しでも生命力を失わないようにとの思いがあった。生命技術チームがこれに応じる中、成長速度の調整と飛躍的に寿命を延ばすことを実現出来る形状記憶液状生命体の量産体制が徐々に整っていく。







新ラインAライフ計画

 2006年より開始された新ラインAライフ計画で、鱒枝条約による鱒枝 馨鱒枝 滝之丞、新たなサイバー兵要員として坊屋 睦奥峰下柘植アムール弥生妙ジュラヴリョフアンナ・ブルースが創出される。(新ラインAライフ第1世代


 2007年、鱒枝条約により鱒枝 水江上月家姉妹臨床観察計画による上月 鶴丸の妹上月 蘭蝶、そしてアキラ・ジーン・シャヒード栗鼠川 綺羅をはじめとするサイバー兵候補生の大量創出が始まる。だが、ここからの創出組は、人類の動向に寄り添うことで、"陰""陽"ニ気調和の均衡を歪曲し続けて来た"シャドウ"アルネの細胞流用の中、量子レベルでの反動が表出し始め、第1世代4名とは異なる性質を内包していた。


 この流れを計算していたかの様にシムザーレが仕組み与えたタイムジャンプの機会を得て数名の者が試みて行くことになる。サイバー兵としての成長を無意識下で受け付けず、何事も意に介さない自由な行動を取る、"陽"の気が強いこの集団は、EATNOPOも持て余し、NEW POWER GEN ENFANT TERRIBLEと称され、第1世代の坊屋 睦奥峰が統括していく。

 

 2008年、上月姉妹臨床観察計画の上月 千夜介が創出。上月 電之介は鱒枝家へ移動、以降鱒枝姉妹と生活を共にする。







シルクロードくノ一

 2009年、満を持して旧生体の形状記憶液状生命体へのアップデートが行われる。これにより、現生アルネ、セシル・ガルニエ、ファン・ホァ、上月 鶴丸、備前 ベリンダ、圓 薊、星 吉祥、ジャルメ、エリカは9名編成のサイバー傭兵団として活動を始めていく。そのほか、鱒枝条約の最終項に記載された特殊優生体創成が成され鱒枝 里見が創出される。

 

 2010年、リキッド体となってロシアからスペイン・マドリードへ戻ったジャルメは、成体になるまで暮らし育ったスラム街カニャダレアルで里親が巻き込まれていたトラブル先で暴行を受け、顔を潰される。顔面及び頭部の再生は困難を極め、リキッド体故の脆弱性が発見されたこの一件で更なる研究が進められることとなった。

 

 世界経済を揺るがしかねない企業へのサイバーテロ、政府への攻撃に伴い、各国でサイバー軍が組織されていく中、Aライフ傭兵派遣部隊として"シルクロードくノ一"が暗躍する。10年代初頭にはシムザーレによる大きな策略が人類のサイバースペースを脅かしていく。(以降 Storyページに続く)







鱒枝家紗具流処遇必約覚え書き

一つ、

鱒枝 紗具流に起こりし変容は奇形などではなく、誰しもが享受し、未来永劫この賜物を活かしていくべきものである。


一つ、

鱒枝 紗具流は人工生命体という人であり、人以上の孤独を与える権利は誰も有さない。由って、唯一無二の紗具流の賜物を預ける引き換えとして、紗具流の孤独が満たされるだけの望みを叶えるべきである。



双子の妹を

鵠の鳥が運んで来る、

翌年に三番目の妹を

鵠の鳥が運んで来る、

その翌々年に四番目の妹を

鵠の鳥が運んで来る、

たった今、

紗具流は生涯の友となる者と出会う



この様な紗具流の希望を全て叶えていただく。


一つ、

四番目の妹は、貴方方のこれまで以上の力を出し、紗具流の暮らす鱒枝家を守り、繁栄させていける者を届けていただく。

誰しもが鱒枝 紗具流を傷つけない、紗具流の同胞を傷つけない、人として人に対しての弁えを持ち続けていただく。

    

二十三代 鱒枝 嘉明

後見 下柘植ノ林猿




鱒枝条約により直ちに創出された上月 電之介と微笑む鱒枝 紗具流、2004年。






アルネの歴史ページはこちら




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